要するに漏れそうだったって話

仕事をしていた頃の友達と遊んだ。

 

何をして過ごしているのか聞かれた。

確かに、退職後3ヶ月経っているので、何かしらしていてもいいはずだ。

 

「犬の散歩行って、寝て、ごはん食べてる…」

終わった。

退職時と何一つ変わっていなかった。

 

ニートはそんなもんだろ。

期待するなかれ。

 

札幌の店でご飯を食べるのも久しぶりだった。

感染状況の把握は半年前ぐらいにやめてしまった。

街よ、今どんな感じ?

 

こんな状況とはいえさすがは金夜。

予約していたお店以外、どこも満席だった。

酒が飲みたい人は何としてでも飲める場所を探すんだろうな。

 

私たちはかれこれ1時間歩いた。

後半はトイレを探すためだけに歩いた。

どこのコンビニのトイレも封鎖されていたのだ。

 

徐々に高まる尿意。友達は便意ももよおしていた。

これは一大事である。

30分を超えたあたりから最悪のシナリオが頭をよぎる。

 

トイレくらい貸してくれや漏らすぞ。

無力にも一人でキレるしかなかった。

 

唐突にお腹下したらどうすればええの、膀胱炎になったらどうすればええの、、。

トイレがないってのに漏らしている人は見当たらず、道はとても綺麗だった。

 

わたしはなぜか道中で色んな人に話しかけてしまった。

人との距離感を思い出せないのか。

誰かと関わりたい、という潜在意識がそうさせたのか。

もう色々とどうでも良くなってしまったのか。

 

どこの店にも入れない絶望感は、ほぼ無意識的に、見知らぬ人に向かって垂れ流されていた。

わたしは誰にどう思われてもどうでも良くなったんだな。

 

とかをぶつぶつ考えながらトイレを探し当てた。

久しぶりの外出が漏らした記憶で塗り固められなくて良かった。

 

いつもなら1時間も歩いたら死んでしまうのに、何故か足取りは軽く、信じられないことにまだまだ歩けるぞ、と強気なわたしだった。

一体どういう訳か。

もしや、これはビーサンのおかげではあるまいか。

蔵王で山道を共に歩いた、あのビーサン

奴のポテンシャルに少々の敬畏の念を抱きつつ、わたしは夜の続きを歩き出すのだった。

 

 

  

ー完ー

 

 

 

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結局家で飲んだ