ベイビーわるきゅーれ
楽しかった。
これに尽きると思う。
映画は世界で起きている様々な問題に寄り添って考えることができる。
わたしは時々考えすぎて、映画を観ることに疲れてしまう。
観たい映画はたくさんあるのに、観にいく気力がないのだ。
最近もそうだった。
映画鬱になりかけたわたしの重い腰を軽々上げたのが「ベイビーわるきゅーれ」だ。
この感覚はカメラを止めるな!を観たときと似ている。
ただ楽しめば良いことが嬉しい。
ストーリーや構成がどうのと考えるのも馬鹿馬鹿しい。
楽しいならそれでいいじゃないか。
素直に楽しもうぜ、と言いたくなる。
何より、伊澤彩織のアクションには感服だ。こういうアクションが見たかった。
彼女はスタントパフォーマー。数々の映画でもスタントを務めてきた。
もうさすがとしか言いようがない。
立ち回りの尋常じゃないスピード感にニヤニヤするしかなかった。
演技も良かった。ちゃんと社会不適合者だった。
高石あかりの演技もめためたに良かった。
キュートな演技とキレたときの振り幅。
二人の日常の気怠い会話や時間が心地良い。
そんな日常と延長線上にあるのが殺し屋の仕事だ。
延長線上というか、殺しも日常なのだ。
割り振られた仕事を面倒に思いながらもこなしていく。
人を殺すからって大そうな覚悟や、細かい注意を払っているわけでもない。緊張感で張り詰めることもない。
寝坊して遅刻しそうになりながらチャリでぶっ飛ばしても、映画の上映時間に間に合うように急いで殺しても、結果的にちゃんと殺せていれば良いのだ。
帰って美味しいケーキを食べられたらそれで良いのだ。
本当はどんな仕事もそんなもんなのかもしれない。
お金をもらっているから、やることやるだけ。
わたしがこの映画で嬉しかったのは、薄っぺらいフェミニストっぽいことを言うヤクザの親分が呆気なく死んだことだ。
「女性差別だ、これからは女性主体の仕事だ、アップデートしないと」
などど最もらしいことを並べといて、実際はゴリゴリのヤクザ史上主義で家族以外の人間を虫けらのように扱う。女性差別云々言えるレベルに達していない。
ラスボス感はあったが、メイドの格好をした高石あかりに即効殺される。ヤッホ〜イ。お前の時代はとっくに終わってんだぜ〜い。
ちなみに、彼らがメイド喫茶を体験する場面は当たり前だけど面白い。
その他の細かいところも、いちいちちょっと面白い。
クスクス笑いながら楽しんでたら、いつの間にかラストを迎えてて、最高に気持ち良く映画館を後にできる。
最高だったのが挿入歌の主演の二人が歌う「らぐなろっく」
かわいくて最強で、殺しの前のBGMにぴったりだからぜひ聴いてほしい。