モータルコンバットを観た
ゲーム知識皆無のわたしがモータルコンバットを観た。
丸腰で飛び込むわけにもいかないので、ネットの情報を洗いざらい読み尽くした。
読み尽くして出した結論は「何も考えるな」ということだった。
結局それが正しい選択だったことが、早い段階で証明されるわけだ。
冒頭数分でハサシ・ハンゾウ(真田広之)が敵の脳天をぶっ刺す。
わたしはグッと拳を握りしめ、静かな興奮を抑えるのだった。
この冒頭だけで、クライマックスを容易に想像できる。
わたしたちはその道筋をただ辿れば良いだけだ。
突然映し出される黒々とした禍々しい雰囲気の場所。
考えるより前に「魔界」テロップが入る。
誰も迷子にさせない魔界テロップの、何たる画期的なことか。
余計なことに頭を使わなくて良いのだ。
テロップのおかげで魔界をすんなり受け入れたわたしたちは、主人公コール・ヤングのポンコツっぷりを無感情で見守る。
何も知らずに運命に巻き込まれる系主人公のコール。
迷いや葛藤をチラつかせてくるが、チラつかせるだけなので、すぐに納得して仲間とライデン(浅野忠信)の元へと向かう。
そう、主人公の心の動きは最小限で良い。
わたしたちが求めているのは、格闘シーンとスコーピオン真田広之の復讐なのだ。
途中、ライデンの寺院で行われる修行は、おっと?大丈夫か?と、なるべくの短尺で済むことを祈らずにはいられない。
戦士がそれぞれに覚醒していくまでは辛抱してほしい。
全てはスコーピオンが冥界から蘇るまでの助走と思えば良い。
いよいよ始まる人間界の運命を懸けたモータルコンバット。
はいはい、待ってました。
わたしはこの無慈悲なフェイタリティを見たかったのだ。
その残虐性ゆえに日本ではゲーム自体未発売となっているらしい。
フェイタリティの凄さは、それが必殺技ではないというところだ。
フェイタリティを繰り出す時点で、敵はすでに必殺。「お前はもう死んでいる」状態である。
つまりフェイタリティは、死体に蹴りを入れるようなものなのだ。最も残虐な方法で。
そんなことがあって良いのか、と。
人道的に、そして倫理的に許されるのか、と。
しかし忘れないでほしい。
「何も考えるな」
考えるということは対モーコンに限っては敗北を意味する。
そしてスコーピオン真田とサブゼロの決闘…。
復讐のエネルギーを何百年も蓄え続けたスコーピオン。
怒りという感情がどれほど偉大なものかと確信せずにはいられない。
あとはもう純粋な気持ちで確変タイムを楽しもう。
何も考えなかったわたしの勝利だった。
さ、無慈悲に生きてやるか〜〜〜