とても大好きな1日について

東京に帰ってくると、異国の料理が食べたくなる。

 

北海道も美味しいご飯がたくさんあるけれど、東京の、密度が濃くて、国の空気を感じられる多国籍料理には敵わない。

もはやわたしは、異国料理こそが東京の味だとも思っている。

 

前回はスリランカ料理とネパール料理を食べに行った。

いろんな食材をごちゃ混ぜにして、何が何だか分からなくなるのに、どこか安心する味、舌触り。

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今回は香港料理。

20時までの時短営業、友人は仕事終わりマッハで電車に乗り込んだらしい。お疲れ様。

時短営業は朝から晩まで仕事をしている人たちにとっても厳しい措置だよな。

無職のわたしにはなんら関係ないけど。

仕事に疲れたのか、この生活全てに疲れたのか分からなくなるような帰り道に、温かくて美味しいものを食べたくなるだろうに。ビールの1杯でも飲みながら。

 

友人のマッハ移動のおかげで、無事に食べたいもの全てを注文することができた。

テーブルに並んだお皿それぞれが、わたしたちの心を踊らせていく。

青梗菜のおひたしや、空芯菜の炒め、蒸し鶏とご飯。 

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それ以上でもそれ以下でもだめなんだよ、っていう味。

ビールが飲みたい。

ビールは飲みたすぎるけど、食事が終わる頃にはわたしたちは既に満ち足りていた。

 

この時間が終わらないように、何年振りかも忘れてしまったガストに滑り込んでデザートを食べる。

 

まだ終わってほしくないので、四谷3丁目から鎌倉の海へと車を走らせる。 

 

友人のひとりが「お腹すいてきた」と言った。食後1時間も経っていない。

この人は、以前一緒に函館に行った時、食後に味噌ラーメンを食べると言って聞かなかった。乗り気じゃないわたしたちは渋々ラーメン屋に行き、結局、3人とも味噌ラーメン1人前を完食した。

コロナ対策でテイクアウトのみだったので、車内で牛丼をかきこむ気にはなれないわたしたちは、おろしポン酢牛丼特盛をテイクアウトしてくる姿を、母親のような気持ちで見ていた。

いっぱい食べて大きくなりなね。

 

鎌倉に近付くと雨が強くなった。

浜辺で走り回って遊ぶつもりでいたのに、車の運転が困難なほど視界不良だった。

雨で、強風で、暗闇。

わたしたちは浜辺に降りた。

夜の海は静かな時でさえも、その図り知れない闇の深さに恐怖を感じる。悪天候の夜の海は、今にもわたしたちを飲み込みそうな勢いだ。

「怖い怖い」と言いながら、喘息持ちの友人が煙草に火をつける。

わたしたちは「ねえ、やめなよ」と笑いながら、でも本当に心配しながら言った。別にやめたくないならやめなくてもいいけど、なるべく健康でいてね。

 

「浜辺でうどんを茹でよう」

「ホットサンドを作って湖や海に行こう」

なんて次会う時の話をしながら帰路に着く。

 

わたしたちはお互いの近況とか1ミリくらいしか話さないのに、次会うまでに数ヶ月空くし、連絡を取り合うわけでもない。

知らないことばかりだけど、知らないことを埋めようとしないままで、だけどずっと友達なんだね。

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