ここから誰も抜け出せない
今日も高熱で目が覚める。わたしは燃えている。
昨日までは本当に燃えている気さえしたが、6日目となると高熱であることは体感で分かっても、さほど燃えている感覚はない。
燃える感覚に慣れてしまったのか?そういうことなら、本当に燃えるまで体温が上がっても気付けないかもしれない。
「わたしが灰になったら海にまいてほしい」とパートナーに伝えた。「どこの海?」と聞かれたけど、特に思いつかなかったので「別に海じゃなくてもいいや」と言っておいた。
わたしは夜に働くのが大嫌いだった。夜は自由だからだ。好きなことをできる夜は大好きだ。
小学生の頃も、金曜日や土曜日の夜が大好きだった。
中学では深夜アニメやW杯にハマって、明け方までテレビの前にいた。
サッカーって継続的に追いかけたり、好きでいたりするものではないのか。わたしのサッカーへの情熱はあの1回のW杯だけを追いかけて消え去った。
何年の大会だったろう。「W杯 イタリア優勝」と入力する。
恐ろしい。わたしがあんなにも熱狂した大会は、イタリアではなくてスペインが優勝していた。そうだ、わたしはスペインを応援していたんだ。雑誌まで買い漁り、全員の名前をしっかり覚えていたじゃないか。
わたしの記憶は大抵死んでいる。
それはいいとして、夜更かしが好きだからといって、睡眠時間が短くて良いわけではない。
断固として9時間以上を要求する。譲歩して8時間。どうしても、と言うならば7時間でどうだ。
就職してからは、9時間眠るために早めに寝ようと意識することが多かった。
夜更かしする楽しみを奪われるよりも、9時間眠れないことの方が辛いからだ。睡眠時間が足りないと、目覚めた瞬間に辛すぎてちょっと泣いてしまう。慰めてもらえないと仕事に行けなかった。
かくして無職になった瞬間、待ち望んでいたように夜を生き始めた。
23時から3時までのわたしが一番輝いている。月の次に明るいはずだ。
夜に働く人たちを、無職のわたしが照らそう。
ほぼ昼夜逆転となり、睡眠時間が増えると同時に体調が悪くなった。
昼夜逆転のせいなのか、睡眠時間が多すぎるせいなのか。
きっと両方だろう。太陽の下で生きることは、わたしが思っているより大事なはずだ。
気は進まないけれど、少し生活リズムを整えていこう。
そう決意を固めるか決めかねているときに、本当に体調が悪くなった。爆発した。
本当に体調が悪いと、本当に夜眠れなくなってしまった。
布団に入ると体のどこかが辛くなった。
どの体勢も快適とは言えず、次第に頭の中を色々な考えが巡り出す。考え出すともう決して止まってはくれない。
わたしではなく、思考がわたしを司っているのだ。
考えが溢れ出てくる割には、一切取り留めがなく、8小節ごとに次々違う曲が流れ続ける感じだ。永遠にサビも、わたしの好きなCメロも聴けない。
そんなぶっ壊れた脳が、わたしの睡眠を妨げて「あ、いいこと思いついちゃった」「これもこれも」とわざわざ起きてメモをとったりしてしまう。こんなことはやめたい。
すると朝にはさらに熱が上がっている。
待て、わたしの熱は知恵熱ではないか。
そうかもしれない。本来脳と身体を休めて、副交感神経が優位になっている時間に、稼働してはいけない交感神経がフル稼働している。
酷使した末に、疲れ果てた脳と身体は朝になってようやく眠りに入る。これはもうオーバーヒートだ。
そうか、そうだったのか。わたしの思考がもたらす高熱だったのか。
いや、待てよ。そもそも体調が悪いから眠れなくなったのではないか。
いや、違う。その前に、無職になったわたしが完成させた昼夜逆転の生活リズムがあって、それが祟って体調を崩したのではないのか。
待て。元はと言えば、わたしという人間は夜更かしが大好きで、夜は楽しくて、、
えー。
つまり、この高熱の原因は、わたしだ。
そういうことで合ってますか?
今日も考えてますけど誰か答えてくれますか?
今週のお題「やる気が出ない」